長い時間と滴る汗とたくさんの小遣いをつぎ込んだ山小屋が完成しました。
バンザーイ!
このページに2001年6月から2002年1月までの奮戦記と写真を載せて
この感動を永久に保存しようと思います。      2002年1月29日

山小屋を作ろう2001/6/22
ピーターパンじゃないけれど、子供の頃、山に入り込んではとっぷりと暗くなるまで冒険に明け暮れた日々。自分だけの誰も知らない隠れ家は、どんなに粗末でちっぽけでもいつもワクワクする気持ちで山で遊んだ。
 今度の果樹園を見た瞬間に「山小屋がほしい。」と思った。それからの毎日は、もしかしたらピーターパンになったように心の隅に山小屋作りが棲みついた。
 言うは易し、行うは。。。
 この図面は、何の建築の経験も知識もないてっちゃんが練りに練って作った見取り図。骨格しか書かれていないが、もちろん壁や屋根や建具のイメージも出来上がっている。千里の道も一歩から。どれ位の時間とどれ位の労力が必要なのか全く分からない。きっと、分からないから出来るんだろうと思う。もちろん、何一つプロの手は借りない。
所有権の主張 2001/6/22
雑草の刈り取りを終えて、夕暮れに差し掛かった頃。その昔に使っていたタープテントとビーチパラソルを置いて、所有権を主張してみた。
「この山は、てっちゃんのやぞー!」
塵 2001/6/22
 夢の第一歩は廃棄物処理から始まった。何と現実的なことか。投棄されて洗濯物干し竿やコンクリートの台、あたり一面に捨てられている空き缶。私は絶対に性善説は信じない。人間は何故にこうも不埒で無節操なのか。
  このゴミは少し性質が違う。先駆者が、おそらくは小さな小屋を作ってその補修用として屋根か壁に使用したいと溜め込んでおいたものだろう。このゴミには、長い時間の歳月と先駆者の志が感じられて、手を合わせて感謝したい気持ちになる。
 右上には、その昔重宝されていた五右衛門風呂が逆さまになって無造作に置かれている。この五右衛門風呂が活躍したらきっと楽しいのだろうけど、今の私の計画のは加わってはいない。







第一歩の始まり 2001/6/25
 3メートルと2メートルの角材を数本買って、初めて山に木材を搬入した。本当の目的は、うずたかく積んでいたゴミの山を処分するトラックが借りたかったからなんだ。
 物干しのコンクリートブロック十数個物干し竿多数、、鉄板が十数枚、空き缶ゴミ袋に六個。その他諸々。よくぞ、こんなにたくさん投棄してくれる。
 右上の写真は、業者に頼んで電気を引くためのポールを立てて貰っているところだ。活きの良い若者がスイスイ穴を掘ってスイスイポールを立てていった。これで電気が通じるまでにもう少しの辛抱だ。
 2001/6/29
 しとしと雨が降る中、どうしても山に行きたくて行って来ました。土台に使う束石を運び入れ、木材をタープテントの中に入れました。辺りは水溜りが出来るほどで全く仕事になりません。 ぼんやり周囲を眺めてぼんやりテーブルでお茶飲んで帰ってきました。でも、少しずつそれらしい雰囲気になってきました。
2001/7/8土台工事
いよいよ本格的な山小屋作りの作業が始まっている。水糸を引いて寸法と水平と垂直を取る。1100円の平衡器が大活躍をしている。束石にコンクリートを引っ付けて、まぁこんなもんだろう。
2001/7 ある日のグッズ               
 さあ今日も頑張るぞと、ダンボールと道具箱をドンと置く。靴を履き替え、ペットボトルのウー
ロン茶を一杯ごくごくと飲んで作業が始まる。鉛筆と差し金で線を引いて一本ずつ電動マルノコで切っていく。木の香りがプーンと鼻につく。キャンプ用の携帯椅子が右に左に大活躍だ。
PEACH  時間の経過はこんな美しいものもひと目で見せてくれる。
2001/7/8                    VIEW
 右上の電信柱から左下の電柱に電気が通った。てっちゃん、大満足!およその柱を組んでみた。一本一歩移動させるのもこれでなかなかいい運動なんだ。しかし、正確な寸法を取ることがこんなに難しいとは。
2001/7/12                   梅雨後半
 激しい風が吹きました。よもや山がこんな風になっているとは予想もしていませんでした。頑丈に出来ているはずのタ−プテントがビリビリに破れ、ピーチパラソルも無残な姿になって転がっていました。
2001/7/22                基礎と土台
 組み上がった基礎と土台の木組みです。電動マルノコが大活躍でした。案ずるより有
無が安し。ここまでは、すいすいと事が運んでいるように思います。
 これから、壁用の柱を立てて、壁板をはめ込む作業に入ります。ドアと窓がなかなか見つからずどうしたものか思案橋なんです。どこかに使い古しのドアと窓が転がっていないものでしょうか。
壁の製作1                 2001/9/4
1.骨組み 2.焼き杉試し張り 3.ちょっと感動
4.道路側完成 5.道路側正面(美しい!) 6.道路の反対、玄関の予定
 柱を立てて壁の製作が始まりました。部屋の大きさは3m×3mの正方形です。ちょうど4畳半の広さになる予定です。普通の工法では屋根を先に張って壁はそのあの後なのですが、私の場合焼き板材をはめ込むように固定していますので壁から先に作っていく必要があります。最近知り合った一級建築士の友達にアルミサッシの窓ガラスを二つ頼みました。転がっているドアも彼からの差し入れです。それに、電気カンナや電気ドリルも赤提灯「山小屋」のマスターが貸してくれました。持つべきものは友達です。
 ちなみに、これだけの作業をするのに朝から晩まで二日半かかりましたが、飯はうまい
し夜はぐっすり、夏のストレスはすっかりどこかに行ってしまいました。それにしてもこの季節は山仕事にぴったり、思考が止まって角材の上にごろりと横になれば、さわさわと吹きぬける涼しい風と今ごろになって鳴いているツクツクホウシの声がすぐに眠りの世界に誘ってくれます。
 このまま時間が止まればいいのに。。
壁の製作2                 2001/10/2
1.骨組み 2.初めての焼き杉板 3.アルミサッシ
4.川側完成 5.川側正面 6.道路側と川側の二面
7.ほぞ穴と小道具 8.山側手付かず 9.山側完成
 骨組みから再掲しました。初めて柱が立ってうれしかった記憶があります。焼き杉板を張りつける作業は思いのほか重労働なんです。金槌で何度釘ではなくて指を叩いたことか。3は、初めてアルミサッシを組み込んだところです。感動もつかの間、この後
山側の壁の様子
すぐに上下が反対でたいへんな思いをしました。
 4・5・6は、2つ目の壁の完成です。自分で作ったサッシの窓の開閉は人一倍心地よいものです。予想を越える出来栄えにひとり感動していました。
 7・8・9は今日の仕事です。ほぞ穴は何個開けたか分かりません。ひとつ開けるのにどうしても20分以上かかってしまいます。留めていた板をはずし柱を組んで、窓枠を組み込み焼き杉板を張りつける。6時間の労働で3つ目の北側を完成させました。なかなか慣れてきたものです。
 さあ、残すは難敵の玄関ドアです。
屋根の取りつけ              2001/10/9
1.山側の壁と窓 2.ドアの取り付け
3.屋根の作製開始 4.ベニヤ板の貼り付け
5.あれっ? 6.片面出来上がり
7.波板鉄板の貼り付け 8.第一期完成!!
秋休みを利用して屋根の貼り付けまではやりたい、こう決意して始めました。壁はドア側を残していましたが、さほどの苦労もなく蝶番がびしっと決まってくれました。しかし、ドアノブを探して何度も大きな金物店(デックといいます)をうろうろしましたが、その種類の多さにすっかりくたびれました。やっとひとつ発注しましたが、2週間はかかるとか。何処で苦労するか分からんものです。
  さて、屋根に使う材料をたっぷり仕入れて、念願の屋根工事を開始。製図をしたときと同じように斜めの斜面が材料に合わせて4メートル。後は全部適当な目検討です。7本の「張り」もベニヤ板の1800ミリに合わせて打ち付けました。まったく適当なものです。枠もびしっと決まって快調。ふと見ると、梯子が外せなくなって「こりゃ困った。」まぁ、愛嬌でした。
  気楽にどんどん出来ているように見えるでしょうが、屋根の上の仕事は結構大変なんですよ。金槌を落としたり、ベニヤが風に飛んだり。鉄の梯子を何度上り下りしたことか。でも、疲れてベニヤに寝転んで見上げた空の青さも池の水の涼しさも蜜柑の実の黄色も何とすがすがしかった事か。
  波板鉄板はちょっと手や足を擦っただけでみみず腫れになって血がにじむのです。屋根に持ち上げるとき、風が吹いて抑えようとするとき、簡単に私の其処此処を傷つけてくれました。くの字になったてっぺんに使うのが一番憎たらしい奴です。
  こうして、四面の壁と屋根の製作が終了しました。トータル50時間くらいの大仕事でした。来る日も来る日も金槌もって汗だくになって働きました。体つきから雰囲気まで肉体労働者風になったと笑われました。シャワーの有難さとビールの美味さをつくづく体感しました。幸せでした。
  暫く休んで、また、下の方から細かい仕事が続きます。床下、そして床。内壁・電気工事。天井や斜めの壁の部分。気持ちの充電が出来たらまた行こうと思います。
ここまでの話を「たわごと」に書きました。読んでみたい方はここをクリックして下さい。
楽しい床工事                 2001/11/1
完成まで行くぞ ベニアに合わせて 一枚完成
きしまない様に もう少し やったぁ
 ぼちぼちと二期工事を始めている。もう一度、下の方から細かいところを仕上げていく。まずは、床張り。8.8ミリの厚手のベニア、一枚780円也を張って行く。ベニアに合わせて枠を決めていくのが一苦労。後から何処に立ってもギシギシ言わないように木組みをしっかりする必要がある。完成してディレクターズチェアーに座ると窓が低くなった。
 次は内壁だ。
ドアにかぎを取り付ける工事           2001/11/12
ドアをただで貰ったは良かったが。。 わざわざここまでプロが見立てていった 作ったのはてっちゃん。ばっちり完成!
電線をつなぐ工事             2001/11/12
電気工事士の資格がいるとか、コンセントを差し込むときは緊張。 ソケットの中は迷路、間違えて中を開けて元に戻せない。。。。 ドアにスイッチもつけたけど、本当に使えるようになるのかな?
 申し込んでから40日も待たされたドアにつける取っ手と鈎をもってそそくさと山に向かった。このドアにこんなに苦労するとは予想もしていなかった。それにしてもあるべきところにあるものが入ると実にすっきり。細かい調整がけっこう大変でした。
 下の電気工事は少し前のものです。こんなものもやってみるとそれなりに難しいんです。今日も訳が分からなくなって感電しそうになりました。
あっちゴソゴソこっちゴソゴソ          2001/11/24
置いてみただけ 川側は簡単 ははっ ワタシ!
すわっ事件 内壁と柱取り付け 屋根裏作成
 あっちゴソゴソこっちゴソゴソと進んでいる、細かいけれど時間のかかる事ばかり。テラスの配置を考えてちょっと置いてみた。なかなか良い。しかし、採寸や加工が細かくなかなか進まない。
 内壁の貼り付けもぼちぼち。初めは天井を作るつもりだったのが屋根裏を道具置き場や仮眠スペースに使う事にして柱を二本取り付けた。
2002年 山小屋               2001/12/30
初めての新年を迎える愛しき山小屋。今年は何処まで進むやら。
内部お披露目                2002/1/30
南向き窓、テラス 屋根裏へどうぞ
入り口のドア、窓 テラスから水瓶
裏の水瓶(元、五右衛門風呂) すまして収まった工具たち
完成                  2002/1/30
 

涙腺がゆるむ。我ながら、本当にここまで出来るとは想像していなかった。
予想もしない様々な出来事に出会ったが、あのちっぽけな設計図からここまで全てが創造の連続だった。最後になって、高速回転の電気カンナが私の左手の中指に襲い掛かってきた時には肝を冷やした。
 しかし、ともあれ全てを終えて完成した。
 梅雨の頃にはじまって、真夏の暑さの中で土台を作り、残暑の中で外壁を作った。一週間の秋休みには、全ての日を費やして屋根を張った。そして、最後の内壁とテラスは細かい仕事の連続で仕事が進まず、何度も放り出したくなった。
 こうして完成にこぎつけられたのは、ネット仲間の暖かい声援のおかげである事を忘れずにつけ加えておきたい。
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