− 夏休み明けに一服 −

Just a little trip
In tsuwano
date 2002. 8.31/9.1
すっかりふらりと出かける旅にとりつかれてしまった。

一度は行って見たいと持っていた津和野に思い切って出かけてみた。
予想をはるかに越える津和野の美しさに命の洗濯が出来たようだ。


プロローグ 船がどれくらい揺れるかを心配しながらも、6000円を節約すべく初めて柳井をやめて大島の伊田に降りることにした。何でも初めては楽しい。

フェリーの旅は
揺れないと悪くない

フェリーの旅は
近いと悪くない

フェリーの旅は
慣れると悪くない


瀬戸内に浮かぶ周防大島伊保田港

宇部の巻 長男が山口に住んで6年が過ぎたというのに、すぐ傍にある有名な常盤公園に一度も行ったことがなかった。台風が通過して風の強い中、初めて公園内に足を踏み入れた。
山口大学工学部
社会建設工学科
臨床トンネル研究所

彼は、
右のビルの一番上の
左端の窓から外を
眺めるのが日課とか

おい今から窓際か

これが常盤公園。

左上の裸婦像から始まって風速計も重なった棺おけも
薪の山も蜘蛛と蜘蛛の巣も全部「芸術」らしい。
てっちゃんには、強風に折れそうになりながら喘いでいる右下の木が
一番芸術に近い気がした。
やれやれ。

津和野の巻 よく、萩・津和野と並べて称される。萩は過去に数回行っているので大体の様子は分かる。しかし、津和野は初めてだった。こんな辺鄙な場所に何があるっていうんだろう。
まずはお世話になった旅館「明月」のご紹介。まっぷるに100年の伝統がある老舗旅館とあったので電話してみた。伝統の中にも、しっかりとしたサービスが感じられた。さすがだァ。 一人寂しく夕食。ビールを飲みながらある事ない事をノートに書き連ねて時間が過ぎる。食事は、真ん中がこんにゃく、魚は鮎、色々小物にも気持ちが行き届いていて充分楽しめた。
山の端に光る雲。両側に迫る山々が大きく迫力があるので、空も雲も採りたてのように活きが良い。 護岸工事を施された川には何の趣も感じられないが、それでも、山間を流れる津和野川は初夏には蛍も飛び交うという。
ふらりと散歩に出て驚く。どの街角も美しい。瓦屋根と石畳と白壁が当然のように散見される。美術館と酒屋と薬屋がやけに多い。この美しさの保存にどれほどの歴史と熱意が込められているのか、地元の人の意気込みが感じられた。
有名な教会。丁寧に使われているようだ。失礼だが、田舎に場違いな立派さだった。この町は豊かだ。 町中に鯉が泳いでいる訳じゃないが、綺麗な水が何処も勢いよく流れていた。山陰の小京都だった。 「飼犬のお散歩ご苦労さま」という文字が優しく感じた。後ろのポスターは森鴎外のシンポジウムの案内
散歩の途中、ある一軒の玄関先に目が止まった。
可愛い!
日頃、この手のものにはあまり心の動かないボンクラでも
この三体には自然に微笑みがこぼれた

津和野ひとり旅の最大の収穫の瞬間

エピローグ 昼過ぎに津和野の町を離れ、出口の真紅の鳥居を後にした。名前の分からない峠を越え、一路、周防大島(屋代島)へ。島に渡る橋も島から見える海の色も美しかった。最後に伊保田の赤い灯台を見た時、今回の旅の終わりを感じた。
ここより津和野、そして、さよなら 津和野郊外
これは帰り道じゃない 名前の知らない峠
大島大橋 カレーライスが美味かったログハウスからの絶景
瀬戸内の海ぃ 釣り人ひとり
伊保田湾、灯台もひとりぃ



後記

ひとり旅は気ままで良いなんて周りは言うが、功罪は様々だ。
自分の世界にどっぷりと浸かることもできるが、寂しさも連れて歩かなくてはならない。
不倫旅行がご所望の方もいるようだが、期待と気疲れはどちらに軍配は上がるのだろうか。
期待に期待しているうちは精々そういう旅があっても良いのかも知れない。

私は近年、車でしか旅に出られない。最悪、レンタカーだ。
行きたい所に行きたい時間に行きたい道を通る。これが旅だと思う。
さぞかしJRの旅はハンドルを持たないのだから楽なことだろう。
しかし、翼のない鳥じゃ仕様がない。足のないペリカンには旅はできない。

知らない町を歩いてみたい。どこか遠くへ行ってみたい。
誰にでもあるこの要求は、現実からの乖離であり自分の日常からの乖離に他ならない。
しかし、旅に出て出くわすのは現実の自分自身であり、マクロな、そしてミクロな自分である。
だから、旅は良いんだと思う。だから、人間は旅に出たがるのだと思う。

小さな旅に出て、遭ったこと思ったことを列ねる経験は病みつきになりそうだ。
デジカメと記憶が勝手なドラマを次から次に作ってくれる。
旅の記憶が一つのまとまった形で残っていくことに喜びを感じているのは
他の誰もない、自分自身なのだろう。さて、次は。。。


最後までおつきあいをありがとうございました。