2007.3.2
2007年になって最初の病気が起こった。短い春休みをこのまま碁とジグソーパズルで過ごすのは勿体ない。
前日になって、いつもの旅行会社に出掛け、「男の一人旅なんだけど、どこか空いてない?」と尋ねる。
「『九州おひなさまめぐり星空の露天風呂』が一席だけ空いています。」
もう是も非もない。「分かった、参加します。」
こうして私はまた突然、旅人になった。
「おひなさまかあ。何でオレがおひなさまなんだよオ。」って声が心の奥の方でかすかに聞こえたが無視した。
目の前に広がる景色は非日常であれば何でも良いってことは経験で知っているつもりだ。そしてやはり正解だった。
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早朝6時20分に松山市駅を出た瀬戸内バスはあちこちで旅人を積んで定刻どおり9時15分に佐田岬の三崎港に到着。 バスのまま船に乗り風力発電の塔と陽光に霞む貨物船たちに送られて三崎港を後にする。 私はこの間ずっと朝日新聞とおしゃべりをしていた。ああ、どんどん現実がスクリューの跡のように遠くになる。 由布院 |
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由布岳 | 風景に溶け込む機関車 | |||
うっすらと春を感じさせる金鱗湖 『春の兆し』 | ||||
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鷺の舞 | 梅に鶯? | |||
創作店で | 車窓から | |||
前回はすっぽりと雲に覆われてみる事の出来なかった由布岳。今回はその重厚な姿を現してくれた。 バスから歩いて15分、素敵な散策道を辿って行くと清閑な佇まいを見せる金鱗湖にたどり着く。サギが出迎えてくれた。 |
久住高原
阿蘇五山・阿蘇涅槃(仏様が横たわる姿)と呼ぶそうだ | ||||
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就寝 |
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久住の日の出 | ||||
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今回のお宿は久住高原コテージ。九州山地の懐(ふところ)に入り込んだ感覚は爽やかだ。 ばっちり晴れていたので星空で露天風呂の予定だったが、この日はお月さんが元気に活躍しており 月夜の露天風呂になった。いやあ結構結構。寝 朝日を撮ろうと早起きをした。朝日なんて滅多にお目に掛からない商売なので妙に嬉しかった。 秒刻みで明るくなっていく感触はどんどん勇気を与えられていく様で悪くないなあと思いながら シャッターを押した。たくさん写したけれどこれ位しか載せられないのが残念だ。 |
九重、夢の大吊橋
二日目は前日の最後方から一転して、運転席後の最前列に出世した。嬉しくて正面からたくさん写した。 | ||||||
九重夢の大吊橋 観光のためにこれだけの吊橋を作ってしまう日本はどこか馬鹿げていると思う | ||||||
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柳川
圧巻、おひなまつりなり | |||||||
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立花家、ここでも江戸幕府260年の重さを感じた | 実物には当然ながら迫力がある | ||||||
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前後の準備も脈絡もなく、ただ観光バスに乗ってしまえばそこから異次元の世界が始まる。
この二日間もまさにそんな展開だった。金鱗湖、久住高原、吊橋、柳川、どれも初めて。
期待していないから期待外れもない。満足が心に染み渡る。やっぱりバスツアーはいいもんだ。
久住の宿で、ひとり、ビールを飲み自分と語り合いながら過ごした夜もなかなかだった。
日常は、やはり離れなくては分からない事があるように思う。それにはこんな旅が一番いいと思う。
ちょっと離れて見直せば、いいところも悪いところも割と客観的に見ることが出来、素直に受け入れられる。
今回のベストショットは金鱗湖だろうかおひなさまだろうか。自分ではちょっと決められない。
金鱗湖の『春の兆し』は写した瞬間に感じるものがあった。柳川のおひなさまにはただ圧倒された。
全部で300枚以上は写した。
下手な鉄砲〜を地で行く素人カメラマンだが自分でも驚く逸品に出合える時が嬉しい。