2018.10.11から

涼しくなってきたから、寒くなる前にふらりと何処かに出掛けたい。
四国からは出たい。関西や九州はちょっと遠いと感じる。
そういえば出雲から山口の日本海側は、よく知らないけれど人間は少なそうだ。

オレ向きかもしれない。



道の駅ふぉレスタ君田/道の駅・多伎


しまなみ街道から尾道を抜けて中国山地の山の中へ走る。松山から200kmで三次市に着いて温泉を探した。
すぐ近くに道の駅ふぉレスタ君田・君田温泉を見つけた。パンフレットをゲットしたが、このあたりはやけに道の駅が多い。

翌日には出雲を抜けて多伎へ100km。何にも走らないうちに着いちゃった気分。
海が見える駐車場で停めて島根半島を眺めながらゆっくりうたった。もう旅気分が全開だ。
道の駅・多伎は海岸を夜間照明が照らす。酔っ払って散歩するには最高だ。ひとりじゃわびしいけど。

それにしても写真が暗い。さすが日本海側だわさ。


浜田市の手前だったと思う。朝食の景色を探してごそごそって海から離れて牧草地帯に入った。
奥のビニールハウスに人がいないことを確認して、朝食はここに決定。7時から10時くらいまでお世話になった。




青海島(おうみしま)・仙崎金子みすず記念館


山口県に入ってしばらくすると大きな漁港を持つ仙崎とその奥に大きい島が見えてくる。
この青海島は、古くから開けた島で鯨の捕鯨で有名だったらしい。
島の奥の漁港は確かに活況に満ちていたが、よそ者がこそっと旅で入り込めない閉鎖感を感じ、
諦めて戻ったら、道端の自販機のあるスペースが一泊の宿に良さそうで、こんな風景を眺めて寝た。

宿の決め方は、難しいが面白い。道の駅ばかりじゃ味わいがないからね。


明治末期から昭和初期に生きた、金子みすずという詩人の名を聞いたことがあるだろうか。
昭和5年没後、50年して大きく取り上げられた童話詩人とされている。
近年の小学生の教科書に取り上げられていて、私は知った。

詩の繊細さと生き様のギャップが気になって記念館を訪れたが、大きな衝撃を受けて退散した。





角島(つのじま)


今回の旅の最終目的地・角島。今回が2回目の訪問。
快晴に恵まれて、美しい橋を心ゆくまでたっぷりと味わわせてもらった。

橋が出来て、田舎の風情が失われてゆくと嘆くのは簡単だ。
この島も同じく観光化の荒波の中でもがき苦しんでいるようにみえた。

でも、オレみたいな旅人がふらりと立ち寄って、星を眺めてションベンできるもの
こんな立派な橋ができたおかげだとつくづく思う。


角島夕景


夕日を追いかけて角島の西端まで行ったら、こんな海岸に出た。
何にもないのが大好きなオレのためにあるような夕景を太陽が沈むまでたっぷり眺めた。
最後になって突然目の前に若いカップルの車が止まってイチャイチャしていたが、いいワンポイントになった。




常栄寺 雪舟庭


山口県に入ったあたりから何件か雪舟庭園なる看板を見て興味を持っていた。
室町末期から江戸初期にこの辺で活躍していた水墨画の巨匠・雪舟は、どうやら庭も作っていたらしい。

山口市内の常栄寺という寺に雪舟の作った庭があるのいうので、この旅唯一の観光のつもりで木戸銭を払って入っってみた。
素朴な石作りの庭は雪舟が作ったと言われないとよく分からないが、それでも何かが違う不思議な力強さは伝わってきた。



鴨池公園のとなり




旅の最後はうまい肉が食いたい。道の駅や駐車場では周囲に迷惑が掛かるので焼肉は出来ない。
四国・今治に戻って何度もお世話になっている七三五浦キャンプ場で締めようとやって来たら
先日の台風で通行止め。ほんと、ここはすぐにアウトになっちまう。途方に暮れたが肉が食いたい。
ちょっと松山に寄ったところに鴨池公園という海岸の公園がある。このそばに使えそうなスペースがあることは知っていた。

4時ころに着いて海を眺めていたら、なにやら大勢のカメラを持った人が集まってきた。
ここはだるま夕日の有名な撮影ポイントらしい。へえっと感心しながらこそっと仲間入りさせてもらって一枚写した。
うまくだるまさんにはならなかったけれど、こんな風にわいわい写真を撮る経験がなかったから本当に楽しかった。

日が沈んだらあっという間に誰もいなくなった。かまどに火を入れてミニキャンプを実行した。
月の光で、焼けているのかどうかも分からない肉を頬張りながら今回の旅が無事に終わったことを喜んだ。




後期


日常の暮らしに何の不満がある訳ではないが、毎日の繰り返しが物足りなくなってくる事は否めない。
年に何度かこんな日常から抜け出したくて、ふらりと旅に出ているのかもしれないと分かってきた。

旅に出れば日常を思う。対岸に置いた日常を眺めるとずいぶん客観的に冷静にその価値をその意味を掴める。
自分の生き様を肯定するのも否定するのも自分の勝手だが、離れて眺めればちょっとは褒める気にもなれる。

あと何年生きるか分からないが、元気で生きているうちはこんな空間の往来を繰り返したいものだ。

2018.10.30 松山にて