2020.2.22

数年間、春秋の車中泊の旅を経験してきた。簡単に楽しめるいい季節だ。
数年前から酷暑の旅を始めた。暑さの対策が分かればこれも面白い。
ならば、寒い冬の雪の中の車中泊はどうだろうか。
30年振りにスタッドレスタイヤを装着し、カセットガスストーブを新調して準備を整えた。



カフェnouka


京都・亀岡の神前地区というところにこのカフェのうかがある。
テレビの人生の楽園で紹介されてから一度入ってみたいと思っていた。
期待以上のお店で、すっかり気に入ってしまった。
またひとつ旅の途中で寄り道するところを確保した気分だ。




五箇山相倉(あいのくら)集落


瓦葺の集落は何度が尋ねているのだが、雪を被ったこんな集落はどんな表情を見せるのか。一度は見てみたいと思っていた。
有名な白川郷に寄ってみた。雪がなかったのもあるが,おびただしい観光バスと観光客の数に圧倒された。
それに以前は車で上れた展望台までもシャトルバス利用してくれとか。プツンと切れて立ち寄るのを止めた。


五箇山あいのくらは白川郷に比べると規模は小さく山の方で道も狭い。駐車場も50台は入らないだろう。観光バスも少ない。
そんな相倉に到着したときはもう暗くなりかけていた。まだ3台の車が止まっていた。たくさんの雪が生活道路を被っていた。

これが見たかったんだという景色を真っ暗になるまで思う存分見せて頂いた。




北陸点描


新潟に向かう道路にこんな風景があった。河川敷で降りて、ああこんな時に電車が着たら嬉しいなあと思っていたら突然遮断機の警報が鳴った


本物のコシヒカリで作ったオカキは美味い。新潟・長岡市


朝の漁港に出る人たちだろうか。富山・滑川市


今回、連泊で世話にになった「さぎの湯」新潟・三条市


朝、さぎの湯を出たら一面に広がった初の雪景色。新潟・三条市


いつかのテレビで放映されていた瓢湖の白鳥。勇んで行ったが,餌付けされた自然界の生き物は何故か淋しい。新潟・阿賀野市


30分ぎりぎり走って撮ったが、どってことのない只見線の一枚。新潟・魚沼市


雪の深深降る鏡ヶ池。こんな景色が好きだ。新潟・十日町市
https://www.tokamachishikankou.jp/history/ruin/kagamigaike/

どこで写した夕日だろうか。わからない。きっとこの日もそろそろ風呂と寝床の心配をしていたことだろう。





市島邸(いちしまてい)


江戸時代から昭和初期にかけての新潟豪農の屋敷は雪とどんな調和を見せるのだろうかという疑問があった。
北海道にはない感覚で眺めてみたいと思って尋ねた。けれど、雪はうっすらとしかなく豪農の屋敷としてみれば立派だが
文化財としてみればどれも物足りない。失礼だがそんな風にしか見えなかった。しかし、いい時間が流れていた。



豪雪の話がよく聞こえてくる新潟だが、実は市内にはそう雪は積もらないんだとか。北海道の雪は11月から4月までほぼ半年、全く嫌になるほど降り続く。
比較すると、新潟の雪は降った時の絶対量は多そうだが雨になったり溶けたりを繰り返しているうちに春が来る感覚のように見える。
降った降ったと大騒ぎしているのはまだ楽しいからであって、思えば北海道の人間は雪が降っても騒がない。「綺麗だねえ」といってため息をつくくらいのものだ。





星峠


市島邸の翌日、4回目の訪問になる星峠に向かった。新潟・魚沼産こしひかりを作っている棚田として近年急上昇の景勝地だ。
この日は朝から雪になった。慣れない雪道に四苦八苦しながらたどり着いたが、この峠の最後の上り坂は途中で止まるかもしれないと思った。
上り切ってさあ直線で目的地ってところで止まった。除雪がされていなかった。雪に煙る棚田が薄っすらと見える。まあこんなもんだろう。





上越市・道の駅やすづか


道の駅でカップ酒とオカキを買い、雪の降る景色を見ながら酒が飲みたいというこの旅の最大の目的がここで叶った
ガスストーブを点けながら窓から眺めた薄明るさの中の雪景色を眺めてただ、美しいという言葉しかなかった。
次の日の朝、この雪を取り除いて車を動かせるかどうかという不安が少々あったが。。





妙高・戸隠・白馬


北陸の雪どころ妙高市を通った。昨日からの雪が樹氷を見せてくれた。いもり池に行ったが、標識まで行って諦めた。もう無理。


妙高から戸隠へこんな道が続く。晴れたのもあって最高の美しさを見せてもらった。山は、黒姫山だろうかそれとも飯縄山だろうか


冬の戸隠は幹線道路しか開いておらず鏡池も小鳥が池も行けなかった。戸隠からは志賀高原に行く道と白馬に行く道が逆になる。
どっちも行きたいが両方はちょっときつい。北アルプスの絶景が見たいと決めて白馬に向かった。鬼無里(きむり)村のローカルな道を通って
トンネルを抜けるとドカーンとこの景色が飛び込んでくる。夏はここで一泊したが、今回はチャリのおっさんと写真に納まって終えた。





大出の吊橋・木崎湖


北アルプスの美しさを写すとき、この白馬・大出の吊橋からの一枚がとても有名なのだが、冬枯れの写真もまた素晴らしい。


通りすがりの木崎湖。何気なく写しても何故かここはこんな風に美しく納まる。どうしてなのだろう。




犀川白鳥湖河川敷


長野市に近づいて雪は少なくなり寒さも和らいだ。瓢湖の白鳥でちょっとがっかりしていたけれど、予定に入れていたので犀川白鳥湖によってみた。
北アルプスを背景に飛ぶ白鳥の群れはたくさんのカメラマンのいい被写体になっていた。やはり餌付けはしているようであまり見ないようにした。
この河川敷はたくさんの木々に囲まれていて白鳥つきの無料オートキャンプ場と考えたら最高のサイトになると思いつき、誰もいなくなってからは
寒かったけれど、しっかり飲んでしっかり歌わせてもらった。





霧が峰スキー場・白樺湖・諏訪湖


美ヶ原高原は冬季閉鎖らしい。でもまあ、行けるところまで行ってみるかとだらだらビーナスラインを上っていったら、突然視界が開けてスキー場が出現。
小規模なかわいらしいスキー場だったけれど、年寄りには丁度いいとスキーグッズに身を包んでそそくさと写真に納まった。5本滑ってじゅうぶん満足できた。



雪の八ヶ岳を眺めながら白樺湖まで降りたけれど、雪が少なくどこかつまらないと、旅人は勝手に思う。


今回も諏訪湖まで出て湖畔を宿にした。ここがいちばん落ち着く。何といっても280円の湖畔の湯と対岸の諏訪市の夜景は絶品だ。




琵琶湖大橋・舞子浜水泳場


琵琶湖まで来るともう自宅に近い気がする。
こうして気に入った駐車帯を見つけて
一晩お世話になるという旅はなかなか飽きが来ない。
いつまで続くのだろうか。。






後記

北海道の雪は昔暮らしていたから知っているつもりだ。本州の雪はどんな風情を作るのだろうか。
春・夏・秋の車中泊はだいたい予想がつくようになった。冬の車中泊は一体何が起こるのだろう。

今回の15泊はそんなクエッションに明快な答えをいただいたように感じる。
北海道の冬は長くて辛いが、信州・越後の冬は短くて楽しい。旅人だからか。
そして車中泊は春・夏・秋はもちろん楽しいけれど、冬はこれがまた最高に楽しいもんだ。

2020.2.29