日常雑感 2  果樹園を閉じようと思う    2024、10、21 

 72歳の秋だ。10月も下旬だというのに連日30℃近い最高気温が続いている。体感ではまだ十分に夏と言える日々が続く。100年後まで、このまま地球が壊れなければいいけれど、と心配している。それより、秋になっても暑くて野菜も果樹もまともに育たない方が差し当たりの問題だ。9月に蒔いたインゲンやカブの種はなに一つ芽を出さなかったし、そろそろ食べ頃の柿は今だに青々として樹になっているし、9月の上旬に落ちてくるはずの栗の実は今頃になって落ちている。
 20年以上も遊んだ果樹園を閉じようと思う。といってもそう簡単なことではなさそうだ。まず手始めに池を壊すことにした。近年、取水口の破損が激しく何度も直して使っていたのだが、8月の雨で取り付けていた枠組みごと全部まとめて流されて何にもなくなった。これで諦めがついた。手を洗うにも果樹に散水するのにもメダカをぼんやり眺めて過ごすのにも重宝していたがここから始めようと決めた。こんな池は簡単に壊せると始めたが1ヶ月以上も掛かってやっと全ての作業を終えた。何にもなくなった地面を眺めて、ホッとしているが寂しくもある。カエルの鳴き声も聞こえなくなるのだろう。
 近年、梨や枇杷や葡萄の実などの収穫量がすっかりすっかり少なくなっていた。「来年はつくだろう。」なんて長閑なことを感じながらもうずいぶん過ぎていた。ちょっとスマホで調べて驚いた。梨の寿命は20年くらいで農家さんは計画的に木を更新するものらしい。みかんや柿の寿命は40.50年くらいあるので、種類によってこれほどに差があるとは知らなかった。せっせと菌や害虫や鳥やイノシシの対策に頭を悩ませてきた果樹作りだが新たに樹の寿命という難題に直面した。もう今更、新しい樹を植える元気はない。実がつかないと分かった木の世話をするのも間が抜けている。何よりオレの寿命だってそろそろ危ない。ならば、閉じるしかないかという展開になっていった。みかんは近年植え替えた20数本が年々育っているからこいつらだけは最後まで残して他は徐々に伐採することにしようと決めた。とはいっても1本の木を切るだけでも簡単なことではないと理解し始めている。テレビなどでは簡単そうに映しているが、自分でやるとなるとどこから手を付けていいかも分からない。だいたいチェンソーすら持っていなかった。のこぎりで切るか?まるで笑い話だと分かった。
 こうして忙しく72歳の秋が過ぎている。今まではあれを作るこれを作ると遊んできたが初めてあれを壊すこれを壊すという遊び方に変わったことが大きい。先日も防鳥ネットの幾つかを壊した。壊すという作業は実に寂しい。作っていた時の記憶が蘇り時々手が止まる。悩んで工夫をした箇所にくるとあの時の景色すら思い出す。寂しさもあるけれど壊すという作業もすることになった充実感のようなものも感じている。更地に戻すという目的は自分の生き様を消して何にもなくするということだ。自分の寿命との競争に感じる。5年間くらいの目標で果樹園を閉じたいと思う。


日常雑感
  ロボットと生きる世界    2024、6、10 

  今の暮らしを書きたいと思った時、はじめに浮かんだのが囲碁でした。ネット有料サイトのサンサン棋院に行きついてどれくらいの時間が過ぎているのでしようか。10年くらいかな。そして、当初は人間と打っていたのがいつの頃からかロボットとしか打たなくなってしまっていました。数年前に囲碁の世界にもAIの波が押し寄せて世界のトッププロがロボットに完敗する時代になりました。まだまだ先の話だと思っていた時代がワタシの生きている間に現実のものとなりました。日本の囲碁の世界もガラガラと様変わりして、ロボットの評価値がどれほどのものかと「お伺いを立て」ながら手合いが進むこととなりました。

  そんな中でこのサンサン棋院にロボットがお目見えしました。強いロボットから下手くそまで6.7種類はあるでしょう。これがそれぞれ個性があって面白いのです。ワタシは一番下手くそに7子置かせて打つのが好きでした。布石(序盤)とヨセ(終盤)はかなり下手なのですが中盤の攻め合いなどは上級者並みと思わせるロボットとたくさん遊んでいるうちに、点数で一番になってしまったのです。400人からいるサイトの一番なのです。「オレってすごくない?」とかやっぱり思ってしまいます。カラクリが色々あってそうなってしまったのですが、一番はやっぱり居心地がいいのです。ずっとここに居たいのです。でもワタシを追いかけてきた人が近いうちに追い抜いて行きそうな状況です。残念ですが認めるしかないようです。

  戻りますが、世界のトッププロでも歯が立たなかった最強のロボットとワタシも打てるんです。試しに3子置いて落盤(レーティング外)で100局以上も打ちました。2つ勝てましたが100局以上負けました。2つ勝てたのも偶然だと分かっています。100以上負けるともうやる気がなくなりました。悔しいけれど住んでいる世界が違うと感じました。私の知っている囲碁の常識がたくさん破壊されました。「ああ、今はこんな時代になったんだなあ」とはっきりと認識をした時間でした。
  世の中がAIとどう付き合うかなんて色々と取り沙汰されています。暮らしにも仕事にもAIが入ってきて大きな変化が生まれているようです。そっちの方はあまりよく分かりませんが囲碁の世界に入ってきたAIと遊んだおかげでそれなりにロボットと生きる世界を理解できたように思います。人間の暮らしはこの後また大きく変化することになるのだろうなあって。。                                                          2024 6 10